目指すのは、結果としての良い形

●形を真似するだけでは元に戻る

こんにちは、フェルマータで言葉の講座を担当している、齋藤匡章です。

今度の土曜日(5/28)のオンライン文章講座に先立ち、言葉と意識についてのプレレッスンをしましょう。

「型を真似るだけでは意味がない」という話です。

文章には、型があります。

たとえばPREP法と呼ばれる型。

ちょっと練習すれば、PREP法で簡単に文章を書いたり朝礼の原稿を作ったりすることができます。

たいへん便利な型ですね。とにかくまず覚えていただきたい文章ツールです。

ただし、話にはその先があります。

型を覚えて真似すれば済むわけではありません。

とりあえずこの形に仕上げればいい、というものではないのです。

空手の型をご存じですか?

型(決まった動作)を何度も何度も稽古をしているうちに、型が体に染み込んで、考えなくても適切な動きができる体になってきます。

いきなりバッと襲いかかられても、無意識のうちに良い動きができる体になるのです。

「型のとおりに動ける」では足りない。「考えなくても、型のとおりに動く体になった」になって、はじめて本物です。

文章の型も、そう。

PREP法で何度も何度も書いているうちに、「結論を端的に伝えてから、理由を述べる……」といった流れが、自分の思考パターン、コミュニケーションの癖として染みついてくる。

そうなったら本物です。

パソコンに「PREP」と書いた紙を貼っておいて、「これを見れば書けるから」では、まだまだ途中段階。見なくても、PREPのことを考えなくても、気づけば結果としてPREPの型になっている、というのが本物です。

年齢を重ねて膝を痛めないためには「膝を固めない」動作のマスターが必須ですが、そのためには「股関節が正しく使える」という前提があります。

まるで型のように「膝の筋肉をゆるめる」だけを試みても、股関節の動きが硬かったら、結局は膝を固める動作に戻ってしまいます。

仕事で根を詰めていっぱいいっぱいにならないように、「もっと楽に考える」という型を意識しても、根底にある「なぜ楽に考えられないか」の原因を変えないと、結局は根を詰めていっぱいいっぱいを繰り返してしまいます。

型は入り口ではありますが、本当に大事なのは型を頭で覚えることではなく、「結果として、型のとおりになっていた」という状態の自分を育てること。

トレーニングで目指すのは、形を真似することではありません。

真似する気なんてなくても、ごく自然に当たり前のように動いていたら、結果として良い形になっていた、という状態の自分です。

今日は、いつもこういったことを意識している方向けの、ちょっと込み入った話をしました。


【オンライン文章講座】(春の講座)

日時:2022年5月28日(土)15:00~20:00頃
料金:10,000円(税込)
会場:自宅でオンライン受講
講師:齋藤匡章(言語戦略研究所)
内容:なぜ言葉は意識を変容させるのか
文章力は、一生にわたって役に立つ技能です。誰でもタダで平等に使える「言葉」という道具ですが、だからこそ一人一人の言葉の力によって差がつきます。仕事で言葉を使う場面が多い方は、この講座で言語能力を高めて、周囲のみなさまのお役に立ってあげてください。

※お申込みは https://fermata-cafe.com/fer/seasonal/ からどうぞ

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新潟市で大人の言葉レッスン(ことば学講座)