あの人に会うと話が長くなる(季節の講座)

●断る技術と心理

先日、「断る技術」(断り方、会話の切り方)についてここで書いたところ、多くのご相談メールをいただきました。

「話し方」や「コミュニケーション」というと、仲良くワイワイ盛り上がることのできる、人を楽しませる技術をイメージしがちですが、それだけではないんですよね。

実際、「断る」場面で苦労している方が多いことがよくわかりました。

確かに、学生時代じゃあるまいし、仕事をしに職場に行っているのだから、「雑談の輪に入れない」「一緒に盛り上がれなくて悲しい……」みたいな悩みは、大して深い悩みではないんですよね。

それどころか、仕事に関する悩みとして「みんなと盛り上がれない」では、むしろ危なっかしいかもしれません。

大人のコミュニケーションで本当に大事なスキルは、盛り上がるより「トラブルを避ける」ほうです。こちらのほうが重要度も緊急度も高い。

ご相談の中には、取引先の会社の人から食事に誘われて、「そういうのはちょっと……」と断った(つもりだった)のに、「まあまあ今後のお付き合いにも悪いようにはしないから。もう予約を入れたから今回だけ」みたいに強引で、仕方なく応じてしまった、と後悔していたメールもありました。

確かに、断る技術が甘かったせいで、不適切とも言える行動が生じた、という見方もできますね。

このように、コミュニケーションで困難を覚える場面を挙げていただくと、大人になればなるほど「会話が盛り上がらない」なんて悩みは少なくなります。

・電話などで相手との会話をうまく打ち切れない
・感じよく断るのが下手で愛想笑いを続けてしまう
・部下に注意しなければいけないのに反発が怖い
・距離を詰めてくる人が苦手なので、上手に距離感を保ちたい
・大事なことに使う時間を奪われたくない

こうしたコミュニケーションの悩みが多くなってくるようです。

本当にそうですね。後味が悪いことや、後ろめたさが残るようなことに、時間を使うのはもったいない。

年齢を重ねれば重ねるほど、大事なことに集中してエネルギーを注ぐのがいい。美しい行動を積み重ねたい。

だらだらと関わるばかりがコミュニケーションではない、ということですね。

しかし、断り方は「こういう台詞を言えばいい」という単純なものではありません。

決まり文句を暗記すれば、うまくすんなり断れるようになるわけではありません。

「そもそもあの時、うまく断れなかったのはなぜか」と思い返してみれば、台詞ではなく深層心理に真の原因があったとわかります。

保身だったり損得勘定だったりの意識があって、「今回だけ引き受けて恩を売っておくといいかな」「強い調子で断ると後々まずいかな」といった意識が生じたのかもしれない。

そういった内面的なところを少しずつ片付けながら、適切に「断り方」を駆使できるようにトレーニングしましょう。

「会話を切るのも会話スキル」「あえて盛り上げないのも会話スキル」です。

文章の書き方講座(春の講座)では、今は「論理」にしっかり取り組んでいますが、次回はその中で「断り方」も取り上げる予定です。

お楽しみに。


【オンライン文章講座】(春の講座)

日時:2023年5月27日(土)15:00~20:00頃
料金:10,000円(税込)
会場:自宅でオンライン受講
講師:齋藤匡章(言語戦略研究所)
内容:言葉をもっと深く、もっと適切に使う論理力を身につけよう……断り方にも方法がある
文章力は、一生にわたって役に立つ技能です。誰でもタダで平等に使える「言葉」という道具ですが、だからこそ一人一人の言葉の力によって差がつきます。仕事で言葉を使う場面が多い方は、この講座で言語能力を高めて、周囲のみなさまのお役に立ってあげてください。

※お申込みは https://fermata-cafe.com/fer/seasonal/ からどうぞ


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新潟市で大人の言葉レッスン(ことば学講座)


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